〜メニューは出てこないけど、ヒントにはなる〜
「今日、何食べたい?」
料理をする人なら、一度は言ったことがあるはずだ。
私もその一人。
冷蔵庫の扉を開けてにらめっこ。
目に入った食材をキーワードにしてスマホで検索しては
またにらめっこ。
でも
たいしてお腹がすいているわけでもないし
そもそもやる気もない。
だから、ピンとこない。
そんなとき
私はよく Audible(オーディブル) を流す。
家事の合間に耳だけが自由になると
不思議と気持ちが少し前に進む。
やる気がゼロの日でも
耳から物語や自然音が入ってくると
「よし、なんとか作るか」と思えるから不思議だ。
そして、目の前にいる家族に声をかける。
「なぁ、今日、何食べたい?」
「出てきたことないやん!」と言われた日
ある日
もうすぐ四半世紀を共に過ごす彼から
こんな言葉が返ってきた。
「何食べたい?ってよく聞くけど、出てきたことないやん!」
……え? ちょっと待て待て待て!
私の目は
ハトが豆鉄砲を食らったようになったと思う。
「何か勘違いしてない?
私は食べたいものを聞いてるだけで
それが出るとは言ってないで。
そのメニューをヒントに
冷蔵庫の中身と私のやる気との兼ね合いで
“今日できる献立” が決まるだけやで。
いや、ほんまびっくりするわ〜」
そう言うと、彼は目を丸くして笑った。
「え?そうやったん?
ずっと食べたいもの答えてるのに
全然出てこーへんやんって思っててん。
それやったら出てこんくて当たり前か!(笑)」
この瞬間、 お互いの“認識のズレ”がふっとほどけた。
「アレさ〜…」から始まる、我が家のすり合わせ
また別の日
向こうから「アレさ〜…」と声が飛んできた。
私は頭の中をフル回転させたけど
アレが何なのか全く分からない。
「ん〜…
お義父さんがよく
『アレちょうだい!』って言ったら
お義母さんが
『アレね…』って返してはるけど
私らはまだその域に達してへんから
もうちょいアレのヒントくれる?(笑)」
そんな“アレの確認”から始まる我が家。
よく「熟練の夫婦はツーカー」と言うけれど
我が家はまだまだその手前。
でも、その距離感がなんだか心地いい。
結局、料理は“共同作業”なんだと思う
「何食べたい?」と聞くのは
メニューをそのまま出すためじゃない。
- 冷蔵庫の中身
- その日の気力
- 時間
- 家族の気分
全部を合わせて
“今日できるごはん”を一緒に探すためのヒント。
言ったメニューが出てこなくても
そこから生まれる会話が
その日の食卓をつくっていく。
まだまだお互いの感覚のすり合わせが必要やけど
その過程こそが
家族の距離を少しずつ近づけてくれるんやと思う。
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