情報弱者と「助けて」と声をあげることの大切さ

元・法律事務員のコラム

〜元法律事務員として見てきた、救われなかった人の現実〜

私は生活保護には2種類あると思っている。

ひとつは、世間でよく叩かれる「悠々自適な生活保護」。
本当は働けるのに
「まじめに働くだけ損だ」
という感覚で制度を利用する人たち。
中には偽装離婚までして受給する人もいる。

確かに
税金や社会保険料が差し引かれた手取りが
生活保護費より少ないこともある。
気持ちが分からなくもない。

でも、もうひとつの生活保護がある。

本当に社会全体で救い上げなければいけない人たち。
その中でも「情報弱者」と呼ばれる人たちだ。

今日は、法律事務員として見てきたその現実を書きたい。

「やっさん」という男性の話

もうすぐ60歳になる男性がいた。
20年近く同じ現場で働き
周りからは「やっさん」と呼ばれていた。

ある日、トラックを洗っていたときのこと。
足を滑らせ、屋根から落ちて右足を骨折してしまった。

それを知った親方は、こう怒鳴った。

「お前!何やってんねん!!」

関西人特有の愛情あるツッコミではない。
本気で人を馬鹿にした叱責だった。

天涯孤独の人生と、唯一の居場所だった仕事

やっさんは幼少期に親に捨てられ
母方の祖母に育てられた。

その祖母も
やっさんが中学を卒業するころに亡くなり

彼は天涯孤独になった。

高校へは進学せず、現場一筋。
人と話すことが苦手で
トラックを運転している時間が一番落ち着くと言っていた。

そんな彼が
20年近く休まず働いてきたのに・・・
親方は心配するどころか怒鳴りつけた。

 

仕事を失い、家賃を払えず、ホームレスへ

足にボルトを入れたやっさんは
仕事ができなくなった。

収入が途絶え
家賃も払えず
ある年の冬、とうとうホームレスになった。

寒くて、寒くて……
凍え死にそうだったため、空き家に身を寄せた。 

 

食事は、コンビニやスーパーの廃棄弁当を
ゴミ箱から拾えばなんとかなった。

誰にも怒鳴られず
彼の心はむしろ平和だったという。

そのまま空き家で暮らし続け 
2年が経過したころ、彼は見つかった。

 

空き家で見つかり、逮捕される

空き家をリフォームしに来た業者が彼を見つけた
その日のうちに逮捕。
罪名は 「邸宅侵入」

 

国選弁護人の弁護士は、やっさんにこう尋ねた。

「なぜ、市役所の生活安全課へ相談に行かなかったのですか?」

やっさんは、まっすぐ弁護士を見つめて答えた。

「……そんなこと、思いつきもしませんでした。」

 

情報弱者は「助けて」という選択肢を知らない

今回の事件のポイントはここだ。

 

“思いつきもしない”。

 

情報弱者は、

  • どんなときに助けてもらえるのか
  • どんな支援があるのか
  • どこに相談したらいいのか

それすら知らない。

「知らない」というより
調べる方法も、調べるという発想すらない。

 

本来なら、救われるはずだった人

そもそも、仕事中のケガなのだから労災申請ができた。
親方は安全配慮義務違反に問われた可能性もある。

 

市役所や弁護士会では無料法律相談がある。
その窓口を知っていれば
仕事を失っても何かしらの支援が受けられたかもしれない。

 

でも、やっさんには 情報を得る手段も、相談できる人もいなかった。

 

まさに、 世の中に取り残された情報弱者のひとりだった。

 

逮捕後、ようやく「支援」にたどり着けた

やっさんは逮捕されたあと
裁判で 執行猶予 がつき、無事に釈放された。

その足で市役所へ向かい
生活保護を受給。
住む家も用意してもらえた。

 

医療費は無料なので
お金がなくて抜けずにいた右足のボルトも
ようやく手術で取り除くことができる。

2年間、痛みを抱えたまま生きてきた足が、ようやく救われる。

 

「助けて」と言わない限り、誰も助けられない

どれだけ支援制度があっても
どれだけ窓口が整っていても
本人が「助けて」と声をあげてくれない限り
誰もその人を救うことができない。

 

自分の殻に閉じこもり
こちらがアクションを起こしても反応がない人は
本当に救いようがなくなる。

だからこそ、伝えたい。

 

困ったときは、誰かに「助けて」と言ってほしい

自分で調べられなくてもいい。
相談窓口を知らなくてもいい。

 

あなたが「助けて」と声をあげれば
その声を聞いた誰かが、必ずつないでくれる。

 

情報弱者であることは
恥でも弱さでもない。
ただ、知らないだけだ。

だからこそ・・・

 

困ったときは、どうか「助けて」と言ってほしい。

 

あなたの声は、必ず誰かに届く。

 

最近、私自身も「安眠」ができていない

やっさんの話を書きながら
ふと自分のことを思い出した。

最近、なかなか安眠できない日が続いている。
眠れない夜が続くと
心の余裕がどんどん削られていく。

 

余裕がなくなると、 人は「助けて」と言う気力すらなくなる。

 

だからこそ
心と体を休めることは
助けを求めるための第一歩 だと思っている。

 

そんなときに役立つのが
私が書いた 安眠のための小さな工夫 の記事。

 

夜の気持ちをゆるめる、安眠のための小さな工夫

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心が少しでも軽くなると、 人はちゃんと「助けて」と言えるようになる。

 

Audible(オーディブル)は「心の余裕」をつくる道具になる

家事や仕事
日常のストレスで心がいっぱいいっぱいになると
「助けて」と言う余裕すらなくなることがある。

 

私はそんなとき、 耳だけが自由になる Audible(オーディブル) をよく使う。

  • 気持ちが沈んでいる日
  • 何もしたくない日
  • ただ呼吸するだけで精一杯の日

そんなときでも
耳から物語や自然音が流れてくると
心がほんの少しだけ前へ進む。

 

余裕が少し戻ると、人は「助けて」と言えるようになる。

だから私は、 自分の心を守るための小さな道具として Audibleをそっとおすすめしたい。

 

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